俺とメイドとK1C

たまにはゲームの話をしよう。今回のお題はサークル「PlatineDispositif」のデスマチックアクションゲーム、「メイドさんを右に」。
一週間ちょいくらい前に作者である紫雨さんがちょっと色々言ってたので考えてみたい。

このゲームを語る際、大体において「とにかく難しい」「よく死ぬ」「クソゲー」という言葉をもって語られる。
よく死ぬのは確かだ。だがそれは難しいということとイコールだろうか?
このゲーム、初期状態で選べる難易度がエチュードノクターンの二種類ある。分かりやすさを優先してそれぞれイージー、ノーマルと呼ぶ。

イージーで死ぬ原因の大半はキャラの操作に不慣れなことだろう。主人公であるレイチェルはアホメイドという通称が付く程度にレスポンスが悪い。ジャンプはボタンを押してから一瞬の間を置いてジャンプするし、しゃがみもアクションゲームの主人公とは思えないほどゆっくりだ。
だが、それらの特性を除けばレイチェルのスペックは実にわかりやすく、出来ることがはっきりしている。
ジャンプの高さは2マス、横は通常2マス。鉄球ジャンプと呼ばれるテクニックでギリギリ3マス分飛べる。
攻撃できるのは横だけ、射程は基本2マスで歩きやスライドダッシュでさらに伸びる。
しゃがみながらジャンプボタンでスライドダッシュという真横に2マス分のダッシュができ、この間は重力の影響を受けない。モーション中に攻撃ボタンを押すと、4マスの射程の攻撃をしつつその瞬間重力の影響を受けて下に落ちる。
イージーの目的はこのレイチェルの基本動作を覚えることだと個人的には思っている。
罠は(比較的)最低限で、それらも大体において分かりやすく配置されていて「これからこういう罠出てくるよ」という予告になっている。

そしてノーマル。こちらはキャラの特性を覚えたプレイヤーに対し、これでもかといわんばかりの罠を以って殺しにかかってくる。
それらの罠の大半は分からん殺しであり、ネタさえ知っておけば回避できる。一度ひっかかった不意打ち系の罠は大体回避できるだろう。チェックポイントも大体前後に設置されていて復活も容易だ。
この辺はジェムを集めた総数で初期残機アップというデザインから、死んでも少しずつ先に進めるし回数を重ねれば残機増やせて楽にできるという設計になっていると思っている。
で、ノーマルのもう一つの特徴として、「どうやっても無理に見える罠」がある。
前述した通り主人公は出来ることと出来ないことがはっきりしていて、ノーマルの2面あたりからはどうやってもクリアできそうにない、いわゆる詰んでいるように見える状況が多々出てくる。
これは純アクションというよりアクションパズルに近い問題で、プレイヤーの腕よりもじゃあどうすれば突破できるのかという発想が試される。


個人的にここの解法を許せるかどうかというのが向き不向きを判断するしきい値だと思っている。
鍵に対してスライドダッシュも通常ジャンプも届かない。針は当たったら即死だ。見えない床もない。どうやれば右のゴールへ行けるのか?


さて、ここで考えてみよう。このゲームは難しいのか?
死にながら覚える、言わば死にゲーではあるが、アクションとしてそんなに難しい操作は要求されない。鉄球ジャンプはちょっと慣れが必要かも知れない。
一度見た罠は警戒するし、画面をよく見ていれば察知して回避することも出来る。回避しようとしたら裏をかかれて死ぬこともある。
チェックポイントはふんだんに用意されていて、リスタートしても燭台を壊してジェェムをこまめに集めればプレイするほど楽になれる。
主人公を殺す代わりにその命はひたすら軽く、プレイする度に経験が蓄積されていって少しずつ前に進める。
それらから、俺はこのゲームをただ難しいというのは語弊がある。
難易度が高いと聞いてプレイを避けている人がいたら、是非一度イージーからプレイしてみて欲しい。今なら紫雨空想遊戯大全 乙型に他のゲームと一緒に収録されていてお得だ。



ナイトメア?ああ、あれは正真正銘のクソゲーだよ。